介護職の『キャリアアップ考』(1)

年々重要性が増すばかりの介護職にとって、
最良の「キャリアアップ」を考える

年々重要性が増すばかりの介護職にとって、最良の「キャリアアップ」を考える

平成30年7月18日

一般社団法人知識環境研究会 キャリア研究分科会


介護職のキャリアアップのパス

介護職は現代の日本にとって最も重要な職業のひとつです。しかし、介護職がどのようにキャリアアップするかという道筋については、まだ議論の途上であるといえます。厚生労働省は、介護職がキャリアをステップアップしていくための制度として認定介護福祉士などを整備しています。

介護分野のキャリアパスの概要
図1:介護分野のキャリアパスの概要(無資格からの入職の場合)


認定介護福祉士と介護福祉士の役割分担―実務者研修教員講習会の位置づけ

認定介護福祉士は、国家資格である「介護福祉士」の上級資格として位置付けられている民間資格です。2015年12月から一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が認証・認定を開始しました。介護職としての知識・スキル、サービス品質の向上の指導スキルなどに力が入れられています。

介護福祉士と認定介護福祉士の違いとそれをつなぐ実務者研修教員講習会の位置づけ
図2:介護福祉士と認定介護福祉士の違いとそれをつなぐ実務者研修教員講習会の位置づけ

介護福祉士と認定介護福祉士の違いを簡略化すると図2のようにまとめられるでしょう。介護福祉士と認定介護福祉士の間で、教育指導というスキルに特化した中間的証明資格として実務者研修教員講習会が位置づけられているとみなすことができます。


介護職のキャリアアップの方法―ダブルで考える

政府等が制度的にキャリアの階梯をつくり、それに基づいて経験や学習を進めていくキャリアアップの方向性があります。このように、キャリアアップを制度的に整備するというアプローチがある一方、それ以外のアプローチもあります。制度的なもの以外にも、慣習的にかたち作られるキャリアのルートがあります。職業の特性を生かして他の業務に展開するような場合に多いアプローチです。

介護の専門職としてのレベルアップを一番に考えるならば、制度的なルートにしたがってキャリアを積み重ねていく方が良いでしょう。さらに、介護サービス提供の第一線から少し引いた形でのケアマネジャーなど支援的な提供現場にキャリアチェンジすることも大きく介護の専門職としての制度的なキャリア構築ということもできるでしょう。


もう一つのルートを常に用意しておくことが重要

ただし、介護制度自体は人口問題や社会的な合意(政治経済状況など)によって影響を受けやすい特性があります。介護制度に依存している介護職のキャリア制度も影響を免れることは難しいでしょう。ある意味流動的な部分は否定できません。

介護職を続ける中で「私はケアが好きだし、ケアを突き詰めていきたい」という方は多いと思います。また、「ケアも好きだけれど、給与や待遇の面を考えて、他の業務や業種に移りたい」と考える方も多いようです。介護職から「他の業務・業種へ」というキャリアの展開は、もう一つの選択肢として必ず持っていることが大切です。入職した若年層介護職がキャリア展開的に次のステップを探索し始める段階になると、専門職としての介護職のキャリアアップというルートとともに他職への展開(転職)を視野に入れたルートも用意しなければいけません。


何が自分のキャリア的な「強み」なのか?その確立と証明を―

他の業務・業種をめざす場合、まずは自分のキャリアの棚卸(たなおろし)が必要です。「何が自分の強み(得意な部分)なのか?」「自分の強みをどのように生かしていきたいのか?」といったことを分析する必要があります。

自分のキャリアの棚卸をした後には、その強みを対外的に証明する方法は何かを検討する必要があります。

他の業務・業種にキャリアを展開(転職)していくためには、介護分野以外でも通用する「証明」を手に入れることが必要です。介護の分野で通用するキャリア構築は、「ローカル(局地的な)・キャリア」の構築といえるでしょう。また、介護分野外でも通用するキャリア構築は「グローバル(普遍的な)・キャリア」の構築といえます。グローバル・キャリアに役立つスキルとしては、マネジメントスキルや指導(人材管理)スキル、安全管理スキルなど、機能的なものがあります。

ダブルのキャリア構築
図3:ダブルのキャリア構築

今後、どのような分野に展開するのかまだ不透明な状態であれば、まずは「リーダー」や「指導者」的な存在なのだという証明があるほうが良いでしょう。「介護職のリーダー的役割を果たしていました」という証明を確実にしたうえで、他の業務・業種に展開するための学習や経験を積み重ねていくことが有効です。

介護職のリーダー的役割を証明するには様々な方法があります。介護福祉士会が開催している各種研修を修了するという方法もあります。「リーダー」や「指導者」であるということを証明する民間資格もあります。


実務者研修教員講習会を使った能力証明

介護分野外の人でも理解しやすい証明方法として、実務者研修教員講習会を修了するというものがあります。

実務者研修教員講習会とは、(介護福祉士)実務者研修の教員を養成する研修で、厚生労働省が指定したものをいいます。介護福祉士国家試験で受験者は実務者研修を修了が必須になりました。実務者研修教員講習会の修了者は介護福祉士実務者研修の専任教員になることができます。また、実務者研修の科目「介護過程III」の担当教員になるためにはこの実務者研修教員講習会を修了しておく必要があります。

厚生労働省が指定する実務者研修教員講習会の修了者は、50時間の講習で「介護に関する体系的な知識」と「それらを伝える指導法」を学ぶことができ、介護福祉リーダーとしてのキャリアアップに役立ちます。

実際に、実務者研修教員講習会をキャリアアップのために受講する方も少なくありません。受講動機を見ると、実務者研修の教員になるという予定の方や、なりたいという意志を持っている方に次いで多いのです。


実務者研修教員講習会の紹介

一般社団法人知識環境研究会では、介護福祉士教育を担う教員を養成する「実務者研修教員講習会」(通信コース)を開講しています。この教員講習会は、全国を対象に、介護のリーダー層(介護福祉士)を育成するための教員を養成するプログラムです。

通信で学び 模擬授業で鍛える
実務者研修教員講習会


お問合せ

本稿の記載内容は、一般社団法人知識環境研究会の機関としての公式の見解ではなく、キャリア研究分科会の見解です。

本稿についてのお問合せは 一般社団法人知識環境研究会までご連絡ください。

一般社団法人知識環境研究会
〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-11-22
電子メール:info@ackk.or.jp
TEL:03(3252)2472
FAX:03(6779)4703

上へ